30Dec2011 Alaska, United States of America
朝までオーロラを楽しんで、少しだけ眠る。
アラスカの朝はとても遅い。
朝までオーロラを待ちながら遊んで。
それから眠って起きても、まだまだ日は昇らない。
それなのに、日の沈む時間は午後の2時過ぎ。
だから、明るいフェアバンクスの世界を見れる時間は限られている。
a.m.9:30
太陽の光が顔の上までは照らしてこなくて。
でも、辺りは少しずつ明るくなっている。
そんな時間。
朝の目覚めに手にするのは、一杯のコーヒー。
猫舌の私にとっては、すぐに飲めないくらいの熱々のコーヒー。
だから、ほんの少しだけと思って、熱々の珈琲を片手にマイナス30度の世界へ出てみる。
ロッジの前には1軒の家もなくて、一面の雪世界と、雪に覆われた森が広がっている。
風さえも吹いていなくて、鳥の囀りも聞こえてこい。
聞こえるのは自分の息音だけ。
そんな静かな朝。
日が昇りきっていない無音の青白い世界は、どこか現実とは違く感じて。
夢の中とか、異次元とかに、ポツンと自分が立っているかのような不思議な感覚だった。
マイナス30度の世界では、たったの5秒くらいでコーヒーは飲める程度にまで冷めていて。
だけど、この不思議な感覚の世界をもっと感じていたくて、部屋に戻ることも忘れてたたずんでいた。
現実に戻ろうと、口にしたコーヒー。
ただのインスタントのコーヒーだったはずだけど。
真っ白な雪景色の中で、まるで自分だけしかそこに存在していないかのような。
そんな、不思議な世界で飲むコーヒーは、サイフォンで淹れた一杯1000円もする高いコーヒーよりも、ずっと、ずっと、おいしく感じた。
毎日仕事に追われるだけの日常だったら、こんなコーヒーの味は知らなかった。
高いお金を払って、サイフォンで淹れる、挽きたてのコーヒーじゃないとおいしくない。
そんな勘違いしたままだったと思う。
目にする景色、感じる世界ひとつで、こんなにもコーヒーがおいしく感じられる。
旅をして、初めてそんなことを知りました。
だから旅はやめられない。
今度はどこで、この最高のコーヒーを味わえるだろう。
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